Cheap Trickのテキスト書庫

Cheap Trickファンサイトで過去に書いた文を加筆訂正して転載します

【Discography】Dream Police(1979)

1.Dream Police
2.Way Of The World
3.The House Is Rockin'
(With Domestic Problems)
4.Gonna Raise Hell
5.I'll Be With You Tonight
6.Voices
7.Writing On The Wall
8.I Know What I Want
9.Need Your Love
Bonus tracks:
10.The House Is Rockin'
(With Domestic Problems)(Live)
11.Way Of The World(Live)
12.Dream Police(No Strings Version)
13.I Know What I Want(Live)


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トム・ウォーマンがプロデュースした最後のアルバムとなった、4thスタジオ作。当初は1979年2月のリリースを予定していたが「at武道館」の予想外の大ヒットで延期され、同年9月にリリースされた。ビルボード200でチャート最高位6位。

曲の原型("Hot Tomato")が1970年代初期に完成していた"I'll Be With You Tonight"、これも活動初期に書かれたインストゥルメンタル曲"Ultramental"を中間部に使っている"Dream Police"(1stシングル。全米最高位26位)のように、前作「Heaven Tonight」の路線を踏襲したポップなハード・ロック曲もありつつ、曲のバラエティとアレンジがより多様化した作風になっている。

リックのメロディ・センスが遺憾なく発揮されたバラード"Voices"は、2ndシングルとしてリリースされ全米最高位32位を記録。アルバムのクレジットには無いが、この曲ではTOTOスティーヴ・ルカサーアコースティック・ギターを弾き、ギター・ソロも担当している。

トム・ピーターソンは"Voices"のデモ段階でヴォーカルを歌っていたが、これは結局収録されず、"I Know What I Want"で初のリード・ヴォーカルを担当。この曲は現在に至るまでライブで重要なレパートリーとして演奏され続けている。

ロビンのヴォーカル、そして楽器の表現の幅は広がり、音もより重厚に。ディスコ調リズムを取り入れ、ストリングスを配した9分超えの"Gonna Raise Hell" 、7分を超える長尺の"Need Your Love"と、ドラマティックな2曲がA、B面夫々の最後を締める構成が秀逸。実験的でありながらアルバムとしての整合感も失わない、1970年代のCheap Trickの集大成といえる名作だ。