Cheap Trickのテキスト書庫

Cheap Trickファンサイトで過去に書いた文を加筆訂正して転載します

【Discography】The Doctor(1986)

The Doctor(1986)

1.It's Up To You
2.Rearview Mirror Romance
3.The Doctor
4.Are You Lonely Tonight
5.Name Of The Game 6.Kiss Me Red
7.Take Me To The Top
8.Good Girls Go To Heaven(Bad Girls Go Everywhere)
9.Man-U-Lip-U-Lator
10.It's Only Love

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1986年11月にリリースされた9thフル・アルバム。ビルボード200で最高位115位を記録した。前作「Standing On The Edge」で、ジャック・ダグラスの仕事を引き継いだイギリス人のプロデューサー・トニー・プラットをプロデューサーに迎え、イギリスとアメリカでレコーディングとミックスを行い、アメリカでマスタリングが行われた。

リックが単独で書いたアルバム・タイトル曲、リック、ロビン、トニーの共作"Man-U-Lip-U-Lator"、ビリー・スタインバーグとビル・ケリーのコンビによる"Kiss Me Red"以外の7曲は全てリックとロビンの共作である。

シークエンサー/キーボード、コーラス・ハーモニー、エフェクトを多用したアレンジは、メンバーも認めるように明らかなオーバー・プロデュースで、4ピースのバンドらしさが重厚なサウンドの中に埋没。リックのアグレッシブなギター、ロビンのパワフルなヴォーカルこそCheap Trickとしての個性を感じさせるものの、バン・Eとジョン・ブラントの存在感は薄い。

楽曲自体のクオリティは総じて高く、また曲調もバラエティに富んでいるため一本調子なアレンジの割に、起伏のあるアルバムという印象を与える。そのポジティヴな歌詞と併せて高揚感を与えてくれる"It's Up To You" アルバムのツアーでも演奏された"Rearview Mirror Romance" リックのスリリングなギター・プレイをフィーチュアした"The Doctor"。シングル・カットされたポップな"It's Only Love" "後にライブ・アルバム「Silver」にも収録された美しいバラード"Take Me To The Top"等、名曲が揃っている。