Cheap Trickのテキスト書庫

Cheap Trickファンサイトで過去に書いた文を加筆訂正して転載します

【Discography】All Shook Up(1980)

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1.Stop This Game
2.Just Got Back
3.Baby Loves To Rock
4.Can't Stop It But I'm Gonna Try
5.World's Greatest Lover
6.High Priest Of Rhythmic Noise
7.Love Comes A-Tumblin' Down
8.I Love You Honey But I Hate Your Friends
9.Go For The Throat
(Use Your Own Imagination)
10.Who'd King
Bonus tracks:
11.Everything Works If You Let It
12.Day Tripper(Live, Short Version)
13.Can't Hold On(Live)
14.Such A Good Girl
15.Take Me I'm Yours

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Beatlesで名高いジョージ・マーティンがプロデュースした5枚目のスタジオ・アルバム。カリブ海にあるモントセラト島のジョージのスタジオでレコーディングされ、イギリスでヴォーカルのレコーディングとミックス・ダウンが行われた。

当時、バンドでの立場に不満を感じていたトム・ピーターソンは、プリ・プロダクションとイギリスでの作業に参加せず、アルバムがリリースされる2か月前の1980年8月にCheap Trickを脱退。難しい状況で作られたアルバムであるが、メンバーのお気に入りとして知られており、バン・E、リック、ロビンはフェイバリットの1枚に挙げている。

リックがピアノで書いた、曲の原型が1970年代初期に作られていたバラード"World Greatest Lover"を除き、収録曲の殆どはこのアルバムのセッションで書かれた新しい曲とされている。

楽曲の方向性は1960年から1950年代へとルーツを辿りつつ、これ以前の4枚のアルバムでも随所で聴けたBeatles的なサウンドを、ジョージ・マーティンの助力でより直接的に表現。1stシングル"Stop This Game"(ビルボードHot100で最高位48位)や"World Greatest Lover"に象徴されるように、オーケストレーションをフィーチュアしたCheap Trick史上随一のドラマティックさを持った曲がアルバムの核を担っている。

「各々の曲がストーリーを持っている」とロビンが評する多彩な楽曲と、キーボードをフィーチュア、エフェクトも随所で活かした実験的なサウンド、ライヴ感のある豪快なギター・サウンドの融合は、ヘヴィでキャッチーな唯一無二のハード・ロックとして結実。ベースもリック・ニールセンが担当した"Baby Loves To Rock"に表れているように、既にメンバー間の信頼関係とケミストリーが揺らいでいる状態ではあったが、ジョージとバンド・メンバーの豊富なアイディアが活かされたアルバムである。ビルボードのアルバム総合チャートで最高位24位を記録した。