Cheap Trickのテキスト書庫

Cheap Trickファンサイトで過去に書いた文を加筆訂正して転載します

【Discography】Lap Of Luxury(1988)

Lap Of Luxury

1.Let Go
2.No Mercy
3.The Flame
4.Space
5.Never Had A Lot To Lose
6.Don't Be Cruel
7.Wrong Side Of Love
8.All We Need Is A Dream
9.Ghost Town
10.All Wound Up

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1987年にトム・ピーターソンがバンドに復帰。リッチー・ズィトーのプロデュースのもとAOR寄りの音楽性を推し進めた1枚。"The Flame"(最高位1位・Billboard Hot100) "Don't Be Cruel"(エルビス・プレスリーのカヴァー:同4位) "Ghost Town" (同33位)"Never Had A Lot To Lose"(同75位)という4枚のヒット・シングルと共にアルバムはロング・セラーを記録し、バンドが第一線へカムバックを果たす手助けとなるアルバムとなった。

このアルバム制作のためにメンバーは50曲以上書いたが、レーベルの指示で外部ライターの曲が多数収録された。1980年代後期にHeart、Aerosmith等に楽曲提供し名を馳せたホリー・ナイト、ダイアン・ウォーレン、ジャナ・アレンといったメジャーどころはもとより,トッド・カーニーのようなカントリー/ブルーグラス系のライターの曲も取り上げている。

グレッグ・ジェフリアのキーボードをフィーチュアした"All You Need Is A Dream"、メンバーが作曲に関わっていない"No Mercy"といった曲に端的に表れているように、従来のギター・リフが牽引するバンドサウンドは抑えめに、重厚なバッキングの上でロビンの多彩なヴォーカルを聴かせる音楽性がアルバムの核になっている。この新機軸にロビンの歌唱力、声の美しさが良くマッチしたバラード2曲"The Flame"(ボブ・ミッチェルとニック・グラハムによる作曲) "Ghost Town"(リックとダイアン・ウォーレンの共作)は、アルバムのハイライトといって良いだろう。

"Wrong Side Of Love"や"All Wound Up"といった、トム・ピーターソンの存在の大きさを感じさせる楽曲の中で、特にCheap Trickのライブ・バンドとしての魅力が結集しているのが、キャッチーなコーラス・ハーモニーが印象的なハード・ロック"Never Had A Lot To Lose"(トム、リック、ロビンの共作)この曲の歌詞はトムについて書かれている。