Cheap Trickのテキスト書庫

Cheap Trickファンサイトで過去に書いた文を加筆訂正して転載します

【Discography】Rockford(2006)

Rockford(2006)

1.Welcome To The World
2.Perfect Stranger
3.If It Takes A Lifetime
4.Come On Come On Come On
5.O Claire
6.This Time You Got It
7.Give It Away    
8.One More
9.Every Night And Every Day
10.Dream The Night Away
11.All Those Years
12.Decaf
Bonus Track(Japanese edition only):
13.Mondo Ragga

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Big3レーベルからリリースされた、通算15枚目のスタジオ・フル・アルバム。

バンドの故郷からとられたアルバム・タイトル、"Come On Come On Come On" "O Claire"といった代表曲に似せた曲名から原点回帰の意識が伺えるが、音楽面では1970年代のサウンドに通じる部分は意外に多くなく、新しいアプローチでバンドの持ち味であるポップ・センスを発揮した名曲集に仕上がっている。

リックが初孫(次男マイルスの子供)に捧げたオープニング曲"Welcome To The World"に象徴されるように、キャッチーでコンパクトなハード・ロック曲がアルバムの根幹を担っており、テンポよく最後まで進んでゆく。

アルバムのプロデューサーはバンド自身だが、リーダー・トラックとしてシングル・カットされた"Perfect Stranger"のみ、リンダ・ペリー(ex.4 Non Blondes)の単独プロデュース。リンダはソングライターとしてもクレジットされている。

レコーディングに全曲クレジットされているジム"pinky"ビーマンの名前が唯一無いのが、ミディアム・テンポのポップな"If It Takes A Lifetime" ギター・リフが"Let Go"を想起させるこの曲では、プロデュースと作曲でジュリアン・レイモンドが参加。

重厚なギター・サウンドと、軽快なコーラス・ハーモニーの調和が絶妙な"This Time You Got It"と"Give It Away"は、バンドとスティーブ・アルビニの共同プロデュース。"Give It Away"は2000年代初期に既にライブで演奏されていた。

同じく、2000年代初期にライブで演奏されていた日本版CDのボーナス・トラック"Mondo Ragga"(instrumenntal)と、"Come On Come On Come On" "Dream The Night Away"はアルバム「Cheap Trick」(1997)のレコーディング・セッションでデモが録音された曲。"Dream The Night Away"はデモではトムがリード・ボーカルを担当していた。

Beatlesの影響が色濃い、叙情溢れるバラード"O Claire" ロビンのミック・ジャガー風の歌いまわしと、シャッフル調のリズムをフィーチュアした”One More”のように、既知の音楽的ルーツを表しつつ新機軸を打ち出したサウンドの楽曲がアクセントになっており、総じてドラマティックさは控えめながら、構成にはメリハリを感じさせる。

アルバムはヒットチャート(Billboard 200)で最高位101位を記録した。